1か月で間に合わせる!測量士補ミニ講座⑧水準測量における注意点/水準測量の計算
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ミニ講座8回目,本日は「水準測量」分野の後編です。
いよいよ来週日曜日は本試験です!
1週間,頑張りぬきましょう!!
▼動画です。
■水準測量における注意点
作業工程のとおり,観測の前に新点に永久標識を設置します。安定させるために,設置から観測までは最低でも24時間以上おいてから観測します。
観測時の注意点としては,①レベル内部の温度上昇による誤差を少なくするため,レベルには日傘をします。また,②手簿などに記録した観測データは訂正してはいけません。もし読定の誤りが発見されても,途中の1点だけ再読定することは認められず,最初からやり直しです。
水準点間の距離が長い場合は,水準点間に固定点を設けることもできます。
前回の記事で理由を述べましたが,誤差の消去・軽減をするため,レベルの整置回数は偶数回となっています。
例えば,最大視準距離が40mの場合,後視と前視を合わせると,一度の整置で80mの距離を観測することになります。で,観測が1.2kmの路線の場合,1,200÷80=15回の整置が必要となるわけですが,15回は奇数回なので,これは認められません。よって,レベルの整置回数は最低16回となります。
また,誤差の消去・軽減をするため,レベルの後視と前視の標尺までの距離(視準距離)は等しく,かつ,レベルはできる限り両標尺を結ぶ直線上に設置しなければなりません。なので,確認した視準距離が後視と前視で異なる場合,動かせる標尺を移動することになるのですが,レベルから標尺までの視準距離には,以下の表のとおり制限があることに注意です。
ちなみに,一級水準測量の50m制限は値を覚えておきましょう。
■水準測量の計算
水準測量においても,点検計算をおこない,測量成果の良否を判定します。
1~2級水準測量では,片道観測による既知の水準点間の「検測」をします。
いいですか?
通常の水準測量は往復観測。検測は片道観測です。
片道観測でおこなう検測は既知の水準点間の比高を測ります。つまり,水準測量で既知の標高点として使用した水準点が正しい高さだったかどうかを調べるということです。
1 点検計算
水準測量では,往復観測をしているため,往復の合計は0になるはずです。
でも,実際は誤差を含んでいるため,きれいに0にはなりません。
そこで往復の観測誤差を調べるのですが,この往復の観測値の絶対値の差を「較差(こうさ)」といいます。較差には路線長の平方根に比例する許容範囲があり,許容範囲を超える場合は,再測となっちゃいます。
測量士補試験では,較差の許容範囲が与えられ,許容範囲を超え再測を要する観測区間を選択する問題が出題されます。まぁ較差を計算して許容範囲と比較すればいいんですが,注意点があります。
それは,「それぞれの区間で許容範囲内であった場合」。それぞれの区間で許容範囲だったら再測いらないじゃん!ってなりそうですが,それぞれの区間が許容範囲であっても,路線全体で許容範囲内にあるのか計算してください。
路線全体で許容範囲を超えていた場合は,もっとも較差が大きい区間の再測をすることになります。
2 重量平均による最確値
通常,最確値をもとめるのは単純な平均をすればいいんですが,レベルと標尺を用いた水準測量では,その性質上,観測回数が多いほど誤差が大きくなります。つまり,路線長が長くなると観測回数が多くなるので,観測路線が長いほど誤差が大きくなるわけですね。
そこで,水準測量では単純平均ではなく,重量平均によって最確値を求めます。
重量(重み)とは観測値の信用の度合いをいいます。重量が大きいほど,その観測値の信用が高くなります。そのため,路線長が長くなると,観測値の信用が下がることから,重量は路線長に反比例することになるんです。
これもよくでる計算問題パターンなので,しっかりと押えておいてください。
さーて次回は「地形測量」の分野をぜんぶやります!