ミニ講座7回目,本日は「水準測量」分野の前編です!だいたい折り返し地点でしょうか??
前編では「水準測量の仕組みと作業工程」と「水準測量の誤差」,「機器の点検調整」をやりましょう。

▼動画です。


■水準測量の仕組みと作業工程

さてさて,そもそも水準測量とは,標高(高さ)を精密に観測する基準点測量の1つです。
測量士補試験では,レベルと標尺という測量機器を使って高低差を観測する直接水準測量について出題されます。TSを使う間接水準測量については,「1か月で間に合わせる!測量士補ミニ講座④機器の点検/水平角の観測/鉛直角の観測」をご参照ください。

1 仕組み

水準測量はレベルと標尺を使って測量するんですけど,この仕組みは以下の図のとおりです。

既知点と新点に標尺を立てて,それぞれの目盛を水平に固定されたレベルを用いて読定(目盛を読むことです。)します。
高低差は(後視-前視)で計算します。標尺は2本1組で,後視に使った標尺を次の観測で前視として使うことにより,順次に高低差を求めていくという仕組み。
これを繰り返すことで,離れた2点間の高低差を観測することができ,連続した区間のことを路線といいます。
これが特徴なんですが,水準観測では観測成果の良否を判定するため,路線を往復する「往復観測」をしていきます。

2 作業工程

TSもGNSSも全部同じですね!

3 レベルと標尺

異なる場所に置いた2つの標尺の目盛を水平に読む器械がレベルです。標尺の目盛を0.1mm単位で読定します。精密ですね。

で,実は現在使われているほとんどのレベルが「自動レベル」といって,内部に物理的な「コンペンセータ」という装置が入ってます。振り子とプリズムを使った装置なので,電気を使用せず,自動的に視準線が水平に調整される優れものです。

また,「電子レベル」というすごいレベルもあります。こちらはカメラが付いていて,標尺の目盛をカメラが読んで自動的に読定します。電子レベルにはメーカや型ごとに専用のバーコード標尺が用意されています。バーコードが付いているのでバーコード標尺というわけですね。これが使われるようになったので,観測者による個人誤差が小さくなって,作業能率が向上しました。

レベルと標尺も他の測量機器と同様,点検・調整が必要です。観測着手前と,観測期間中だいたい10日間隔で点検する必要があります。

また,レベルと標尺には精度によって等級が付いてます。精度ごとに使用できる等級は以下の表のとおり。

間違えやすく問題で問われやすいのが,2級水準測量です。
1級または2級レベルと1級標尺の組合せでおこなわなければなりません。2級標尺が使えないので注意。

■水準測量の誤差

水準測量にも誤差はつきものです。いずれも消去・軽減の方法が試験では重要!

特に頻出な誤差について見ていきましょう。

1 前視と後視で視準距離を等しくすると消去できる誤差

①視準線誤差

これはレベルの十字線の調整が不十分で,視準線と気泡管軸が並行になってないので生じる誤差です。
前視と後視で同じだけズレてれば誤差が打ち消されるので,「前視と後視で視準距離を等しくする」ことで消去することができます。

ちなみに,視準軸の調整は後に出てくる「不等距離法(くい打ち法)」で補正します。計算問題で出題されます。

②球差

地球表面が湾曲しているために生じる誤差が球差です。
図を見ると分かりやすいのですが,視準距離が長くなるほど目標の高さが本来よりも低く見えます。
これも前視と後視で同じだけズレてれば誤差が打ち消されるので,「前視と後視で視準距離を等しくする」ことで消去することができます。

2 標尺に関する誤差

①鉛直軸誤差

レベルの気泡管の調整が不十分で,鉛直軸が傾いてることで生じる誤差です。
ズレが向き合うように観測すると誤差が打ち消されるので,「観測回数を偶数回にし,三脚の特定の脚の向きを特定の標尺に向けて整置する」ことで軽減することができます。

②零点誤差

磨耗して標尺の下端が0から始まらなくなっていることから生じる誤差です。
これも「観測回数を偶数回にする」ことで消去できます。
偶数回にすること,観測開始点と観測終了点に立てる標尺が同じものになるからです。

ということで,他の誤差も含め,なるべく誤差を消去・軽減するため,水準測量は「往復観測」で「観測回数は偶数回」これがテッパンです。
目盛誤差をの偏りをなくすために,往復の観測で同じ測点に同じ標尺を立てないようにすると,「往観測の出発点に立てる標尺と,復観測の出発点に立てる標尺は交換する。」ということになります。
(往路出発)A標尺→①→B標尺→②→A標尺(往路終了)
(復路終了)B標尺←④←A標尺←③←B標尺(復路出発)

3 膨張誤差

標識の膨張誤差については,補正する計算問題が出題されます。
標尺定数と膨張係数による標尺補正で補正するんですが,それぞれ以下の式で計算します。

 標尺定数補正量=観測高低差×標尺定数
 膨張係数補正量=観測高低差×(観測温度-基準温度)×膨張係数

補正量は観測値に足すと最確値になります。

■機器の点検調整

上にある「視準線誤差」のための調整法である「不等距離法(くい打ち法)」の計算問題が出題されます。去年の測量士補試験で久しぶりにいきなり出題されたんですが,昔は頻出していた計算問題です。

これ,結構わかりづらいんですよね。でも,簡単かつ間違えにくい計算手順をこちらアガルートの「測量士補試験 2018合格目標 3時間で押さえる計算問題」で解説していますので,どうぞ。おすすめです。

次回は「水準測量」の後編です。
「水準測量における注意点」と「水準測量の計算」をやりましょう!

▲まとめ に戻る!▲

令和5年度アガルート受講生の土地家屋調査士試験合格率は63.41%(全国平均の6.56倍)

令和5年アガルート受講生の測量士補試験合格率は95.2%(全国平均の2.96倍)

令和5年度アガルート受講生の測量士試験合格率67.61%!(全国平均の6.56倍)

資料請求で講義とテキストの一部を無料でプレゼント!

1分で簡単無料体験(※会員登録後お申込みいただくと視聴できます)

資料請求で講義を無料体験