1か月で間に合わせる!測量士補ミニ講座⑫応用測量(ファイナル!)
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いよいよ明後日は測量士補の本試験ですね!やりきりましょう!!
▼動画です。
そして,ミニ講座も12回目にしてファイナルを迎えます。
内容は「応用測量」。
今までの分野は基準点測量に関したものでしたが,この「応用測量」の分野は,「測量の技術を公共事業に生かそう!」というものです。
なので,公共事業を前提としておこなわれる測量を学習します。
作業規定の準則では,「路線測量」,「河川測量」,「用地測量」に区分されてますが,それぞれ計算問題を含めた問題が測量士補試験では出題されます。
結構難しめの計算問題が多そうですが,出題パターンがかっちり決まっていてワンパターンですので,対策してしまえば得点元になり得ます。
■路線測量
路線測量とは,主に道路の新設,改修,維持管理のために用いられる測量です。
1 作業工程
路線測量の作業規定と,作業の概要図は上になります。
よく分からないので,作業工程を追いながらポイントを押えておきましょう。
① 線形決定
行政から,「こういう道路をつくりたい」という作業計画がきますので,それをもとに,地形図上に新しい道路の絵を描くのが,「線形決定」です。
この線形(道路の形)ですが,直線で作ります。道路のカーブについては,直線部分を延ばした交点を「IP (Intersection Point:交点)」として座標を定めます。
線形を座標値にしたものを「線形図データファイル」といいます。
② IPの設置
IPはカーブした道路をつくる時に設置しますので,すべての路線測量で必ず設置されるものではありません。カーブがある道路のときだけ設置します。
それぞれ線や点,角度に名前がありますが,覚えなくていいです。
③ 中心線測量
線形図データファイルを基に,路線の主要点や中心点を実際に測量して,現地に設置する作業です。
主要点には役杭を,中心点には中心杭を設置し,識別のための名称(道路起点から「No.0」「No.1」…などの名称が振られます。)を記入していきます。
また,重要な杭が亡失したときに容易に復元できるよう,引照点杭を設置し,必要に応じて近傍の基準点から測定し,座標値を求めます。
④ 仮BM設置測量
仮BM設置測量とは,縦断測量および横断測量に必要な仮の水準点(仮BM)を設置し,標高を求める作業のことです。
仮BMは設置間隔を「0.5km」とし,破損を避けるために,原則として施行区域外に設置します。施行区域は道路になっていくわけですから,施行区域に設置しても破損してしまいます。
⑤ 縦断測量
縦断測量とは,仮BMなどに基づき水準測量をおこない,中心杭高や地盤高などを測定し,路線の「縦断面図データファイル」を作成する作業をいいます。
よく試験にも出題されるのですが,縦断面図データファイルを図紙に出力する場合は,縦断面図の距離を表す横の縮尺は線形地形図の縮尺と同一のものを標準とし,高さを表す縦の縮尺は,線形地形図の5倍から10倍までを標準とします。どういうことかというと,高さ(縦の縮尺)が地形図の縮尺と同一だと,高低が表現しきれないので,5倍から10倍に強調して表現するってことです。
⑥ 横断測量
横断測量とは,中心杭などを基準にして,中心線と直角方向にある地形の変化点および地物について,中心杭からの距離と高さを求め,「横断面図データファイル」を作成する作業をいいます。
横断面図データファイルを図紙に出力する場合は,横断面図の縮尺は縦断面図の縦の縮尺と同一のものを標準とします。横断面図も高低を強調するため,強調された縦断面図の高さ(縦の縮尺)と同一の縮尺を使うということになります。
⑦ 詳細測量
道路の設計に使う「詳細平面図データファイル」を作成するための測量です。
ちなみに,この詳細平面図の地図情報レベルは250を標準とします。
⑧ 用地幅杭設置測量
用地幅杭設置測量とは,道路取得にかかる用地の範囲を示すため,主要点および中心点から中心線の接線に対し,直角方向に用地幅杭を設置する作業です。つまり,「実際に道路をつくったらココまで道路になっちゃいますよ」という「道路になる部分」を測量して現地に示します。
この部分の土地を道路を作る際に行政が取得することになります。
2 単曲線の設置
路線測量の計算問題では,この単曲線の設置に関する問題が出題されます。
この計算問題,全部で3パターンあるんですが,詳細な解法については,アガルートの「測量士補試験 | 2018合格目標 3時間で押さえる計算問題」にて解説しています。
でも,実は次の「単曲線の特徴」を押えておけば,すべてのパターンに柔軟に対応できます。
① 単曲線の接線(BC~IP)とR(単曲線の半径)は直角に交わる。
② IA(交角)とI(中心角)は等しい。
③ ∠IP BC ECと∠IP O BCは等しくなり,I(中心角)の半分になる。
④ R(単曲線の半径)とTLは「TL=R×tan?(I÷2)」の関係になる。
なんでこうなるのか?を一度考えておけば,覚えなくても現場で使えるようになります。
■河川測量
河川測量とは,河川・湖沼・海岸の調査,維持管理のために用いられる測量です。
1 作業工程
路線測量の作業規定と,作業の概要図は上になります。
こちらについても,作業工程を追いながらポイントを押えておきましょう。
① 距離標設置測量
距離標設置測量とは,河心線の接線に対して直角方向の左岸および右岸の堤防法肩または法面などに「距離標」を設置する作業をいいます。
なお,ここで左岸とは上流から下流を見て左,右岸とは上流から下流を見て右の岸を指しますので,覚えておきましょう。
距離標の設置間隔は,河川の河口または幹川への合流点に設けた起点から,河心に沿って「200m」を標準としていきます。
ちなみに,距離標は図上で設定した距離標の座標値に基づいて,近傍の3級基準点などからトータルステーションによる放射法のほか,GNSS測量機を用いたキネマティック法,RTK法またはネットワーク型RTK法により設置します。ネットワーク型RTK法による観測は,間接観測法または単点観測法を用います。
ちょっとややこしいですが,この距離標設置測量は「応用測量の中で唯一3級以上の基準点を用いておこなう」ことを押えておきましょう。
② 水準基標測量
水準基標測量とは,定期縦断測量の基準となる水準基標の標高を定める作業です。この水準基標は,2級水準測量によりおこない「水位標の近く」に設置します。
③ 定期縦断測量
定期縦断測量は,定期的に河川の縦断面の形状の変化を調査するもので,水準基標を基準にして,「両岸の距離標の標高を測定」しておこないます。平地においては3級水準測量によりおこない,山地においては4級水準測量によりおこないます。
さて,なんだか河川測量では水準測量の等級が多く出題されます。ややこしいので,まとめておきましょう。けっこうポイントです。
・2級水準測量
河川測量における水準基標測量
・3級水準測量
河川測量における平地部の定期縦断測量
・4級水準測量
河川測量における山地部の定期縦断測量
④ 定期横断測量
定期横断測量は,定期的に河川の横断面の形状の変化を調査するもので,距離標の視通線上の地形の変化点について,「距離標からの距離および標高を測定」しておこないます。
その方法は,水際杭を境にして陸部と水部に分け,陸部については「横断測量」,水部については「深浅測量」によりおこない,横断図面を作成していきます。陸部においては,堤防の断面も観測するため,堤内地の20m~50mの範囲についてもおこないます。
⑤ 深浅測量
深浅測量は流水部分の横断図面を作成するためにおこなうもので,水深と測深位置(船位)および水位を測定する作業です。
水深の測定には「音響測深機」を用いることになっていますが,水深が浅い場合はロッド(測深棒)やレッド(探深鐘)を用いて直接測定によりおこなうものとします。
なお,測深位置(船位)の測定は,ワイヤーロープ,トータルステーションまたはGNSS測量機のいずれかを用いておこないます。
2 横断測量の計算問題
測量士補試験では,河川測量の計算問題として,横断測量の結果から河床部における平均河床高の標高を計算する問題が出題されます。
これ,実はやり方さえ覚えちゃえば簡単で,「両岸の距離標上面と河床部で囲まれた面積を,河床部の測点間距離で割る」ことで,「両岸の距離標上面からの比高」を求めることができます。
色んなやり方があるんですが,このやり方が一番筆算が少ないので間違えにくいです。
■用地測量
用地測量とは,土地および境界について調査し,用地取得などに必要な資料や図面を作成する作業をいいます。
土地家屋調査士試験ともカブります。え?これ,土地家屋調査士じゃないの!?と思うようなところがあるかと思いますけど,用地測量した先にある分筆とかは土地家屋調査士の職域ですが,その前提にある「公共事業でここまでが用地取得する土地ですよ」と行政に示すのは測量士の職域になります。
で,この用地測量ですが,作業工程と求積計算問題が出題されます。作業工程については内容も聞かれますので,順番と内容を併せて押えておきましょう。
1 作業工程
用地測量は,以下の工程に従って行われます。
① 資料調査
資料調査とは,土地の取得などにかかる土地について,用地測量に必要な資料などを整理,作成する作業です。ま,地積測量図とったりとかそういうやつです。
② 復元測量
復元測量とは,境界確認に先立ち,地積測量図などに基づいて境界杭の位置を確認し,亡失などがある場合は復元するべき位置に仮杭を設置する作業です。
立会い(境界確認)をする前に,あらかじめ提示する筆界を復元しておきます。
③ 境界確認
境界確認とは,現地において,関係権利者立会いの上,一筆ごとに土地の境界(境界点)を確認して杭を設置する作業です。
いわゆる立会いですね。仮杭とかを本杭にしていきます。
④ 境界点間測量
境界点間測量とは,現地において隣接する境界点間の距離を測定し,境界点の精度を確認する作業です。
杭を入れてから測量,この流れは測量法全般に言えます。
⑤ 面積計算
面積計算とは,境界測量の成果に基づき,各筆などの取得用地および残地の面積を座標法により算出し,面積計算書を作成する作業です。
求積して,用地取得にかかる賠償額の根拠なんかに使われるわけです。
2 座標法による求積
用地測量の計算問題として,座標法による求積が出題されます。土地家屋調査士を目指されている方でしたら楽勝ですね。ちなみに,私は受験生時代は複素数で求積していたので,この座標法の書き方を別に覚えていました。
こんな感じ↓に計算できますので,自分で表を書いて計算することになります。
以上になります!!
さ,全12回となりましたミニ講義,これにて終了です。
余裕で合格できるだけの必要知識をまとめてみました。少しでもお役に立てればと思います。
では!日曜日の本試験,全力で頑張ってきてください!油断禁物ですよ!!
ちなみに,ちょっと宣伝です。
測量士補試験において,毎年8~11問程度出題される計算問題。測量士補試験では電卓を使用できないこともあって,苦手意識を持っている受験生も多いですが,出題パターンは決まっており,数字を入れ替えているだけで,同じ解法で解ける問題が繰り返し出題されています。
そこで!アガルートの「測量士補試験 | 2018合格目標 3時間で押さえる計算問題」では,測量士補試験の過去問を使って,過去10年で出題されている21パターンすべての解き方を説明いたします。この講義で解き方をマスターして,筆算の訓練をすれば,計算問題を確実な得点源にすることができます。
なにより3時間のコンパクト講義ですから,「まだ不安!」という方は土曜日にこいつで計算問題を得意にしてやりましょう。1日で大きく変わりますよ!!
それでは!