複素数ミニ講義の11回目です。

今回はトラバース調整の「理論」をやります。

で,次回から,実戦編として,「均等法」と「コンパス法」をそれぞれやっていく予定です。

ちなみに調査士試験では,トラバース調整の「均等法」と「コンパス法」,どちらも出題されたことがあります。


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■トラバース調整とは?

測量には誤差がつきものです。
測量士補でやったように,消去・軽減できる誤差はもちろん潰していくんですが,どうしても誤差は残ってしまうんですね。なので,測量では真値を観測することはできません。なので,いろいろ工夫をして,最も確からしい値,「最確値」を求めていくわけです。

その工夫の1つがトラバース調整です。
下の図をみてください。


左が閉合多角測量で,右が結合多角測量です。

どちらも順々に既知点(座標が分かっている点)から既知点まで,新点を経由して測量していきます。
測量1回ごとに誤差が少しずつ積み重なっていくイメージです。

で,最後に既知点を観測して座標値が出るわけなんですが,もちろん,既知の座標値と差がでます。
この差を「誤差」というわけですね。

なので,観測値から「誤差」を引いてあげれば,最確値になります。
ただ,「引く」というのが分かりづらいので,【観測値に「補正量」を足すことで最確値を出す。】という考え方をします。

ここがとてもあやふやな方が多くて,調査士に限らず,測量士補でも非常に大事な考えなのですが,何か値を補正するときは,「誤差を引く」のではなく,「補正量を足す」というやり方に固定してください。

そして,補正量の算出の仕方は,「既知の値-観測値」です。これ大事。言い方を変えると「正しい値-誤った値」ってことです。「正-誤」「せいひくご」口に出してみてください。

「せいひくご」して出た「補正量」を,観測値に足すことで,最確値を求めることができます。

問題によって誤差を引いたり,補正量を足したりしている方!今後は「補正量を足す」というやり方に固定すると,変なミスが防げますよ!

(当たり前と言われそうですが,補正方法を固定していない人は本当に多いんです。そういう方は足すべきものを引いてしまったり,その逆をしてしまったり。。「誤差って足すんだっけ?引くんだっけ?」と迷っちゃうわけですね。)


■均等法のやり方

閉合でも結合でも一緒なので,ここからは閉合で説明します。
誤差の調整方法には色々あって,均等法,コンパス法,トランジット法などがあります。
でも,試験的には均等法とコンパス法を押えておけばokです。

均等法とは,「閉合を構成する各点に均等に誤差を調整する」という方法です。

上の閉合トラバースだったら,4回観測して1周の閉合をしています。
最終的にA(既知点)とA2(観測点)には誤差が発生していますが,この誤差を観測数で割って,各点に均等に配分していきます。

例えば,補正量がX座標4mm Y座標8mmだったとしましょう。
この補正量を観測数である4で割ると,1観測数あたりの補正量がX座標1mm Y座標2mmになります。これを各点に到達するまでの観測数で配分していきます。

Bまでは観測数1回で到達するので,X座標1mm Y座標2mmを観測値に足します。
Cまでは観測数2回で到達するので,X座標2mm Y座標4mmを観測値に足します。
Dまでは観測数3回で到達するので,X座標3mm Y座標6mmを観測値に足します。

A2にはX座標4mm Y座標8mmを足しますが,Aの値になるので計算不要です。


■コンパス法のやり方

一方,コンパス法は観測数でなく,「各辺長で調整」していきます。コンパス法によるトラバ-ス調整は,測距と測角の精度が同程度の際に使用されますが,問題で指定された方で調整してください。

上の閉合トラバースだったら,70mで1周の閉合をしています。
最終的にA(既知点)とA2(観測点)には誤差が発生していますが,この誤差を辺長で割って,各点に辺長の分だけ配分していきます。

例えば,補正量がX座標7mm Y座標14mmだったとしましょう。
この補正量を総路線長である70mで割ると,1mあたりの補正量がX座標0.1mm Y座標0.2mmになります。これを各点に到達するまでの辺長で配分していきます。

Bまでは辺長10mで到達するので,X座標1mm Y座標2mmを観測値に足します。
Cまでは辺長35mで到達するので,X座標3.5mm Y座標7mmを観測値に足します。
Dまでは辺長55mで到達するので,X座標5.5mm Y座標11mmを観測値に足します。

A2にはX座標7mm Y座標14mmを足しますが,Aの値になるので計算不要です。


今回はここまで!
次回から,実際に例題を使って,複素数を使った均等法・コンパス法によるトラバース調整をやっていきましょう!!

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