測量士補や測量士の試験問題に掲載されている「関数表」には,0度から90度までの,sin,cos,tanが記載されています。
しかし,測量士補や測量士の計算問題では,360度までの三角関数を使うことがあります。

そこで,関数表にない三角関数をどのように求めるのか考えてみましょう。

まず初めに,そもそもですが,sin,cos,tanとは何でしょうか?

直角三角形の分かっている角度(θ)を左下,直角を右下に置いた場合の各辺の比は,以下のようになります。

図のように三角関数の頭文字を書いてあげると,「〇分の〇」のようになるので分かりやすいです。

では,左手系の座標で,θ=30°を考えてみます。
左手系なので,座標北から右回りになります。

この図から,赤い線を1と置くと,cosはX座標の値になり,sinはY座標の値になることが分かるでしょうか?

cosは,X座標÷1=X座標。sinは,Y座標÷1=Y座標です。

tanは,Y座標÷X座標ですね。傾きを表します。

sinとcosは,どちらも+(プラス)の符号になりますし,その値は「関数表」のとおりです

tanは傾きを表しますから,sinとcosどちらもプラスなので,プラス÷プラスで,tanもプラスになります。

もう1つ例をみてみましょう。今度は,θ=45°の場合です。

ちょっと動きましたが,sin,cos,tan,いずれも符号はプラスのままです。


では,ちょっと特殊な場合で,θ=0°を見てみましょう。ここまでくると実際の三角形では考えられないですね。

sinが消えました。X軸上になるので値は「0」です。一方,cosは赤い線と同じになるので「1」になります。tanは,0÷1で「0」です。
ちなみに,θ=360°0°と同じです。

では,θ=90°の場合も見てみましょう。

今度はsinが赤い線と同じ「」で,Y軸上になるのでcosが消えます。「0」です。
tanは,1÷0になりますが,数学上「0で割ることはできない」ため,tan90は「なし」になります。「関数表」では「*****」と表示されています。


では,次に,「90°<θ<180°」の場合を見てみましょう。例として,θ=120°をみます。

まず,符号をみてみます。
sinはY座標の値なのでプラスですが,cosはX座標の値で原点より下にくるため,マイナスの値になります。
その値ですが,図のとおり,「180°-θ」で求めることができます。θ=120°であれば,60°のsin,cos,tanの値をみてあげて,cosならマイナスを付けてあげればいいことになります。
ちなみに,tanの符号は,cosがマイナスのため,マイナスになります。プラス÷マイナス=マイナスですからね。


では,180°を飛ばして,「180°<θ<270°」の場合を見てみましょう。例として,θ=210°をみます。

今度は,cosもsinも(X座標もY座標も)符号はマイナスになります。一方,tanの符号は,マイナス÷マイナス=プラスになります。
その値は,「θ-180°」で求められます。図で言えば,210-180=30°の値を見てあげればいいということになります。


次に,270°を飛ばして,「270°<θ<360°」を見てみます。例として,θ=315°をみます。

今度は,cosがプラス,sinがマイナスになります。tanは,マイナス÷プラスでマイナスですね。
値は,「360°-θ」で求めることができます。θ=315°なら,360-315=45°の値と同じになります。


ちょっと飛ばした180°270°もみておきましょう。

まず,θ=180°です。
0°や360°と同じで,sinが「0」です。cosは赤い線と同じで1ですが,マイナスになるので「-1」です。tanは,0÷-1で「0」です。

最後に,θ=270°
今度はcosが「0」です。sinは赤い線と同じで1ですが,マイナスになるので「-1」です。tanは,-1÷0となり,数学的に0で割れないので,tan270は「なし」になります。

最後に,いままでの「符号」と「関数表からの求め方」をまとめておきましょう!

こんな感じです!!

90°<θ<180°で+になるのはsin,180°<θ<270°で+になるのはtan,270°<θ<360°で+になるのはcos,なので,

「最短コース(sin tan cos)はプラス!」って覚えるのもいいかもしれません。


それでは!

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