不定期企画ですが,いただいた質問に答えます。
というのも,毎日たくさんいただく質問の中に「こ,これは!!すごく良い質問っ!」って思うものもいっぱいあるので,その一部を紹介。
今回の選定基準は,「一見単純な知識に思えるけど,この引っ掛かりが実は大きな意味があるもの」です。2つ。



Q1「大判昭10.10.1の判例だけど,建物として不動産登記法により登記するためには,完成した建物である必要はなくて,床や天井がなくてもいいの?」

どの程度まで完成していれば「建物」と言えるのかということ。
この判例では,屋根と周壁があれば「建物」だと示しています。屋根だけじゃだめ(大判大13.10.7)。
だから,床や天井がなくても屋根と周壁があれば,その敷地は「宅地」になるかもしれません(このあたりは昭56.8.28民三5402号もチェック)。

ですが,建物として登記するためには「種類」を登記しなければならないので,目的とする用途として使える状態までの内装工事の完了は必要です。
つまり,床や天井がないと「種類」が分からない!というのであれば,建物として登記できません(建物認定19頁)。あ,スケルトンインフィルは「居宅」目的として使えることが決まっているので「居宅(未内装)」で登記できます(平14.10.18民二2474号)。

Q2「どうして非区分→区分への建物表題部変更登記の登記申請書には「区分した建物の表示欄の1行目」に「従前の建物の所在」を記載するのに,建物区分登記の登記申請書には「従前の建物の所在」を記載しないの?両方共,非区分建物から区分建物に変わる登記なのに」

建物区分登記の場合は,「従前の建物の所在」と「区分後の一棟の建物の所在」が必ず同一になるため(法54条1項2号かっこ書き),区分した建物の表示欄1行目に所在を記載する必要がないんです。
一棟の建物の所在が従前の建物所在を兼ねるっていうイメージですね。


一方,非区分→区分の建物表題部変更登記の場合,別の区分建物が増築されますので(法52条1項),「従前の建物の所在」と「区分後の一棟の建物の所在」が同一になると限りません。
よって,「従前の建物の所在」の特定のため,区分した建物の表示欄1行目に所在を記載する必要があるんです。


以上です。
不動産登記法には色々な決まりがありますが,どれも「理由」がちゃんとあります。「そういうもんなんだ」で終わらせずに,「なんで?」を考えてみると,思わぬ知識が繋がって1粒で何度もおいしい「根底にあるルール」を得ることができます。


それでは!

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