以下のような鋭い質問を受講生からいただきました。

過去問平成27年度 問18 肢エに,「申請書類つづり込み帳につづり込まれたものを除き」とあるのは何故ですか?
参考 H27-18-エ 「閉鎖した土地所在図は,申請書類つづり込み帳につづり込まれたものを除き,閉鎖した日から30年間保存される。」→〇

とても良い視点ですよね。この質問を機に,つづり込み帳(ブック)に添付書類がどのようにつづり込まれるのか,整理してみましょう。
よくある「建物表題登記」を例にします。書面でする建物表題登記では,どのような書面を提供してするのでしょうか?
以下のものですね。

・登記申請書
・報告書←いわゆる93条報告書。実務のみ
・所有権証明書
・住所証明書
・建物図面および各階平面図
・代理権限証書

これを流れに沿って整理してみます。
まず,登記の申請がされると,「受付帳」に申請があった旨が記録されます。
受付の年の翌年から10年間この情報は保存されます。

その後,所有権証明書や住所証明書などの附属書類は,「申請書類つづり込み帳」につづり込まれ,建物図面および各階平面図は「建物図面つづり込み帳」につづり込まれます。
図面は「土地図面つづり込み帳」・「地役権図面つづり込み帳」・「建物図面つづり込み帳」のいずれかにつづり込まれるわけです。
もちろん,これらにつづり込まれている間は,保存期間は「永久」です。

「申請書類つづり込み帳」につづり込まれた情報は,「受付の日から30年間」保存されます。

で,大事なのは,図面というのはこの後ブックが分岐します。

それは,①「変更・更正により新たな図面が提供された場合」と,②「電磁的記録に記録された場合」です。

①「変更・更正により新たな図面が提供された場合」は,従前の図面が閉鎖されます。閉鎖した図面は,「閉鎖土地図面つづり込み帳」・「閉鎖地役権図面つづり込み帳」・「閉鎖建物図面つづり込み帳」のいずれかに移動します。
閉鎖系のつづり込み帳に移動した図面は,「閉鎖した日から」30年間の保存期間となります。

では,②「電磁的記録に記録された場合」はどのようになるでしょうか?
答えは,デジタル図面が作成されると,書面で作成された図面は,「申請書類つづり込み帳」に移動するんです。

ですが,同じ「申請書類つづり込み帳」につづり込まれていますが,所有権証明書や住所証明書などの附属書類と異なり,「電磁的記録に記録して保存した日から30年間」保存されることになることに注意です。

ここで「過去問平成27年度 問18 肢エ」に立ち返ってみると,「申請書類つづり込み帳につづり込まれたもの」は「起算日」が異なるため,問題から「除かれている」ことが分かります。
スルーしてしまいがちですが,こういうところからも理解は広がるものですね。


それでは!

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