いただいた質問に答えてみる⑤
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中々好評なこの企画。でもまだ5回目なんですね。
毎月の定期カウンセリングをしている中で,もう過去問の択一は全部できるようになったよ!という受講生の方に,何が1番難しかったか?を最近よく聞くようにしてます。
かなり答えはバラけるのですが,平成26年問6(のうち,特に肢アイウ)を苦手とする方が一定数いらっしゃったので,これは記事にしたいな,と。Twitterで毎日仕事をしている1日1問も出せないような出題形式ですしね。
こんな問題。
次のような登記事項の記録(抜粋)がある甲土地及び乙土地に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。
なお,甲土地及び乙土地は,その地番区域及び所有権の登記名義人が同一であり,また,いずれも乙区に記録されている事項はないものとする。
ア 甲土地について錯誤による地積の更正の登記が平成21年6月3日にされたことによっても,平成18年3月15日にされた分筆の登記において登記所に備え付けられた地積測量図は閉鎖されない。
イ 甲土地について分筆の登記が平成24年11月9日にされたことにより,平成21年6月3日にされた錯誤による地積の更正の登記において登記所に備え付けられた地積測量図は閉鎖される。
ウ 乙土地について合筆の登記が平成26年8月19日にされたことにより,平成18年3月15日にされた分筆の登記において登記所に備え付けられた地積測量図は閉鎖される。
エ 略
オ 略
選択肢 略
さ,肢ごとに見てみましょう。
「なんでこうなるのか?」を考えてイメージするのが重要です。
ア 甲土地について錯誤による地積の更正の登記が平成21年6月3日にされたことによっても,平成18年3月15日にされた分筆の登記において登記所に備え付けられた地積測量図は閉鎖されない。
まず,平成18年の登記で提供した地積測量図ってどういうものでしょうか?
157番を157番1~157番7の7筆に分筆した図面ですね。地積測量図では1筆1図面が原則ですが,分筆は従前地1筆ごとに1図面になります。だからこんな感じ↓
では,その後の平成21年の登記で提供した地積測量図ってどういうものでしょうか?
157番1の地積を更正するための地積測量図ですね。だからこんな感じ↓
これで,平成18年の登記で提供した地積測量図が閉鎖されてしまったら,どうでしょう?
157番2~157番7の6筆の求積の根拠が失われてしまいます!
だから,閉鎖されないんですね。正しい。
イ 甲土地について分筆の登記が平成24年11月9日にされたことにより,平成21年6月3日にされた錯誤による地積の更正の登記において登記所に備え付けられた地積測量図は閉鎖される。
肢アに続いて,今度は平成24年に157番1から157番16を分筆してます。
この平成24年の登記で提供した地積測量図ってどういうものでしょうか?
こんな感じですね↓
この図面が提供されると,前の平成21年の登記で提供した地積測量図は閉鎖されるのでしょうか?
答えは,閉鎖されません。
どうして?
分筆登記だからです。閉鎖されるのは,「変更または更正後の地積測量図が存するとき」です。つまり,閉鎖されるのは,「誤った図面」なんです(語弊ありますが)。だから,分筆登記がされても,前の図面は閉鎖されません。よって,誤り。
この平成24年の登記が「土地地積更正・分筆登記」でしたら,閉鎖されますね。
ウ 乙土地について合筆の登記が平成26年8月19日にされたことにより,平成18年3月15日にされた分筆の登記において登記所に備え付けられた地積測量図は閉鎖される。
今度は乙土地(157番6)ですね。
確認ですが,平成18年の登記で提供した地積測量図とは,この図面↓のことです。
157番1~157番7の7筆については,どの土地についての地積測量図を請求しても同一の図面がきます。
で,平成26年に合筆の登記をしたと。
この合筆登記で提供した地積測量図ってどういうものでしょうか?
…
合筆では地積測量図提供しませんよね。
提供しないし,閉鎖しちゃったら他の157番2~157番5の4筆の求積の根拠が失われてしまいます!
だから,閉鎖されないんですね。誤り。
出題の形式も登記記録をもとにするのでちょっと特殊でとっつきずらいです。でも1度こうして「なんでこうなるのか?」のイメージをもっておけば,もう間違えません!
それでは!