本試験での「知らない問題」の倒し方
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定期カウンセリング真っ最中で,毎日10名ぐらいの受講生と電話にてカウンセリングをしておりますが,やはり,あと10日の不安がでてきています。
そもそも不安は,期待の裏返しですので,皆さん「合格できる」と思うからこその不安です。悪いものではありません。
特に,「本試験でまったく知らない問題が出たら,どうしよう」という思いを耳にします。
土地家屋調査士の本試験は,知っているかどうかの知識の「確認」で終わるような甘いものではありません。中には,「考えて導く」という過程が必要となることもあります。
記述式なんて特にそうですよね。
択一突破した人でも,記述式であれだけ得点がばらける↓わけですから,単なる知識の確認に終わっているわけありません。
この前の建物の予想問題を出題した直前ゼミ(ここから問題や解説をみることができます!)も同じです。あれは,「教えたことができるかの確認」で作問していません。そんな問題は無意味。「自分の中にある知識を総動員し,いかに減点を少なくできるか。」これがポイントです。
だからこそ,得点は分布するし,記述式が難しいと思われる所以です。
これは択一式でも起こり得ます。
まぁ実際は選択肢の中に正解の組合せがあるので,軸肢(自信のある肢)を中心に答えが出せることがありますが,不安解消という意味で。
例えば,こんな問題。
所有権が敷地権である旨の登記がされている土地の分筆の登記を申請する場合において,当該土地が,当該敷地権の登記をした区分建物と異なる登記所の管轄区域内にあるときは,当該区分建物の登記事項証明書を添付情報として提供するべきである。正か誤か。
(知ってるよという方は,知らないと思って読んでください)
まず,「土地」の登記なのに「区分建物」の登記事項証明書?と引っかかります。
次に,「分筆」の添付情報に「登記事項証明書」なんてあった?ないよね?と記憶から引っ張ります。
(他にも平成27問6肢エに似てるけど,違うよな。とか思います。)
ここまでは「基礎」があるからこそ思考できることです。
基礎がなければこの引っ掛かりも感じないことでしょう。この引っ掛かりを感じることができた人は,基礎がある人。言い換えればこの「知らない問題」を正解できるところまでいる人です。
「じゃ誤りだ!」というのは早計です。
知らない肢について,パッと答えを出すべきではありません。少なくとも「自信のない×」としておいて,他の肢から選択肢を解答すべきでしょう。
では,他の肢をみても軸肢がなかった。
その場合,この肢について潜る必要がでてきます。
まず気になるのが末尾の「~べきである。」。
気になりますね。
いかにも例外的で,通達とかにありそうです。
次に考えるのが,「通達にあるとしたら,あり得るのか?」です。自分で通達を導く作業です。
(この例題の肢は質疑応答ですが)
↓このような思考フローをたどります。いずれも基礎知識であることを確認してください。
・所有権がある土地の分筆を申請できるのは,所有権登記名義人。
・土地の所有権が敷地権の目的になっていれば,土地の所有権登記名義人=区分建物の所有者。
・登記官は土地の所有権登記名義人かどうかで申請適格をチェックする。
・「所有権が敷地権である旨の登記がされている土地」ということは,土地の甲区が敷地権になっている。
・土地の甲区が敷地権になっているということは,具体的な住所氏名が記録されていない(記録されているが抹消されている。)。
・じゃ,登記官はどうやって申請適格をチェックする?
・区分建物の登記記録をみればいいのか。
・他管轄ならば提供してあげた方がいいよね。敷地権の登記をするときも他管轄なら土地の登記事項証明書を提供するし。
・じゃ「提供するべき」で正しいかもしれない!
…こんな感じです。ちなみに答えは「正しい」です。
知らない問題を知っている知識から正解させるというのは。知らない問題が2肢以上あれば,これの確からしさで濃淡をつけて判断することになります(そういう事例は極めて少ないです。他にも,個数問題とかだとあり得る。)。
ですが,大事なのは,こういう思考フローをたどれるには,「確かな基礎知識」が必要。ということです。
結局,基礎。本当に基礎が大事。
基礎がぐらついているようでは,その上にある応用問題はもっとぐらついてしまいます。
知識量の勝負ではありません。こういう思考フローが試されることもありますので,最後の10日間,「知らない知識を探して入れる」ではなく,「知っている基礎知識をさらに確認する」という舵で学習していただければと思います。
それでは!