土地家屋調査士って何?儲かる?
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このブログを見て,調査士に(試験に・資格に)興味をもってくださった方がけっこういらっしゃるんですね。ありがたいです。
調査士試験は正直言って結構難しいんですが,その先にある資格としての魅力!
これは実際に独立して開業したワタシだから言えることもあると思うんですよ。
ですので,今回は,「調査士の魅力」。併せて,「何する仕事なの?」とか「ぶっちゃけ儲かるの?」みたいなとこに言及したいです。せっかく難しい試験でも,その先に大きな魅力があれば,頑張れますしね。
まず,最初に言っておくと,魅力,超アリです。
いや,ほんと。
魅力だけで言えば,日本にある資格の中でも最強なんじゃないですか?
だって,独立して開業して稼げますから!
せっかく開業したのに,儲からない…。よく国家資格で聞く話ですよね。
でも,調査士はそんなことありません。変な話,仕事は数多あるし,ちゃんとしてれば(変なことしなければ)普通に暮らしていけます。
では,いったい調査士ってなんなんでしょうか?
それは,「不動産の表示に関する登記を代理して申請する」資格になります。
これだけなんですが,大きなポイントが2つあります。
ポイント1「表示に関する登記代理は調査士しかできない。」
法律系資格といえば,弁護士が最強です。弁護士を持っていれば,けっこう他の法律資格も全部できちゃうんですよ。司法書士とか。でも,調査士業務は弁護士でもできません!
測量をともなう超専門的技術が必要なので,弁護士や測量士でも,調査士の業務はできません。
独占資格ってことですね。
ポイント2「表示に関する登記は義務である。」
これ,大きいです。
権利に関する登記(所有権を移転したりとか,抵当権を設定したりとか)は,申請できる人が任意で登記します。でも,表示に関する登記は義務なんですよ!家を建てたり,家を増築したり,そんなことが起きたら,絶対に登記しなければなりません。しなければ過料(罰金)です。
で,それを独占的にできるのが調査士。「国民の義務を独占的にできる」ってことになるんですが,こんな資格中々ないですよね。
家なんて見渡せばいくらでも建築・改築されてます。
その裏では調査士が活躍しているんですよ。
では,調査士はいったい何をする仕事なのでしょうか?
もちろん,「登記の申請代理」ですが,単に法務局に書類提出を代行するだけではありません。
専門的な知識・技術で不動産(土地・家屋)を調査するわけです。
では,日調連の小冊子「不動産の登記と管理」から,基本的な調査士の仕事である「分筆登記(土地を分ける登記です)」の流れを見てみましょう。
まず,クライアント(依頼主)から依頼を受けてスタートですね。
そしたら,法務局などでの資料調査をして,基礎的な測量をします。
土地には当然区画があるわけですが,それがどこまでかを調査するわけです。
で,調査士が調査結果を元に,土地の区画(筆界といいます。)を明示して,お隣さんや,役所(道路とか)を巻き込んで,「立会い」をおこないます(図でいう「境界調査確認」です)。
立会いというのが,私は調査士業務の「肝」だと思いますが,要は「調査した結果,ここが土地の区画です。よろしいですね?」と説明するわけですね。
確認がとれれば,その区画で確定測量をして,土地の区画をがっちり決めます。
あとは,クライアントの望む形や数で土地を分筆します。
最後は,「地積測量図」という分筆した土地を公示する図面を作成し,法務局に提供します。
これで終わりですね。
お金をもらいます。私は全部仕事が終わってからお金をもらっています。
この分筆登記が完了すると,いくらもらえるのか?
金額は自由化されていますが,調査士業務は自由化後に全然値崩れしていません。
でも事務所差はありますが,私の事務所は「1坪あたり1万円+α」をいただいております。
平均的な30坪の土地ですと30万ぐらいですね。実際は平均40万ぐらいでしょうか?
司法書士に依頼された方は分かるかと思うんですが,司法書士へ払ったお金って代替は「印紙代」に消えます。司法書士の先生には全額いかないんですよ。
でも,調査士も印紙代がかかりますが,2つに土地を分けた場合でも2,000円です。つまり,残りは事務所に入ります。もちろん,測量は1人でできないので,補助者(事務所の職員です。)への給料などに一部はなりますが,同じぐらいの報酬でも,調査士の方が1件あたりのバックは大きいです。技術料ですね。
ただし,立会いの難度によりますが,分筆登記は依頼から1か月以上,下手したら半年ぐらいかかることもざらです。ですが,「待ち」の時間も多いので,複数の案件を同時並行して業務をすることになります。ちなみに,私が補助者として勤めていた前の事務所では「1日1登記」ぐらいしていました。
あとは,法律資格なんですけど,測量があるので「外仕事」が多いのも特徴ですね。
独立したらほぼ毎日外での仕事があると思ってください。打ち合わせなども,できれば現物の土地や建物を見たいので現地でやることがほとんどです。
では,分筆以外の調査士の代表的な仕事をいくつか見てみましょう。
■調査・測量
「自分の土地はどこまで?」みたいな案件も多いです。
図みたいな測量の機械を使って土地を測ります。立会いもします。
■地目変更
地目とは,土地の種類みたいなもんです。
農地として使っていた土地を建物の敷地にしたい!とか。
農地として登記されている土地を建物の敷地にした場合,これも登記する義務があります。
測量はしませんので,完全に現地で見て,あとは書類作業ですね。
農地の場合,農業委員会への届出や許可は行政書士の仕事なので,ダブルライセンスが光ります。
■建物新築
建物を建てたら,もちろん登記する義務ありです。
こちらも土地の測量はしませんが,新築のお家に入って,床面積や種類を調査します。
■建物増築
建物を増築したり,種類(用途)を替えたりしても登記の義務が発生します。
どれだけ床面積が増えた・減ったとか,用途がどう変化したか,これを調査します。
いかがでしたでしょうか?
ちょっとは調査士の業務がイメージできましたでしょうか?
他にも,ADR(裁判所を使わない紛争解決)とか,地図の作成とか,非常勤国家公務員(筆界調査委員)とか!調査士の業務は広がっています。
是非,ご興味をもたれたら,調査士試験へのチャレンジを考えてみてください!
当ブログからのメッセージによる相談・質問も受け付けていますよ。
それでは!
余談ですが,調査士の先生って本当に誇りがあり,尊敬できる人ばかりです。同年代の調査士の先生ともとても面白い付き合いをさせていただいております。こっちに来てくださいね!